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妻鳥純子

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Erstarrung 凝固(その1) 2.2.2015

  • 妻鳥 純子
  • 2015年2月2日
  • 読了時間: 2分

Die Winterreise「冬の旅」の中の4番目の曲。 この曲のことを考えていて、ちょっと油断していると Hugo Wolf の "Die Begegnung"(出会い)が頭の中で鳴りはじめたりする。何の関係もないのだが、ただとても速い曲ということだけが共通点であるだけなのだけれど。 私は「 Die Winterreise」 の曲の中でこの4番の"Erstarrung"、と8番の"Rückblick"がとても好きだ。テンポの速い曲と言う意味では、13番の"Die Post" も好きだが、それへの好みはこの2曲とは少し色合いが違っている。この、雪の地面にキスをする程の激情、辛さ、そしてピアノの3連符のドラマティックな音がたまらなく好きなのだと思う。そう、ピアノの拍動が、飛び切りに素敵なのだ。心を追い立て、主人公は雪道を急ぎつつ、胸をかきむしられるような痛みを感じている……

この曲の最初にZiemlich schnell(幾分早く) と記されているが、自筆原稿によるとNicht zu geschwind(早すぎないように) となっていることが、Bärenreiter-Verlag・BA7003(Urtext)には記されている。ここに楽譜を示してはいないが、この曲の82小節~83小節、92小節~93小節にある "erstorben" は  Wilhelm Müller の 原詩では双方とも"erfroren" である…‥と記されている。音形も少し違うことが記されている。 このことについては、Bärenreiter-Verlag・BA7003(Urtext)などを参考にしていただきたい。

4. Erstarrung

Ich such' im Schnee vrgebens Nach ihre Tritte Spur, Wo sie an meinem Arme Durchstrich die grüne Flur. Ich will den Boden küssen, Durchdringen Eis und Schnee Mit meinen heißen Tränen, Bis ich die Erde seh'. Wo find' ich eine Blüte, Wo find' ich grünes Gras? Die Blumen sind erstorben, Der Rasen sieht so blaß. Soll denn kein Angedenken Ich nehmen mit von hier? Wenn meine Schmerzen schweigen, Wer sagt mir dann von ihr? Mein Herz ist wie erstorben, Kalt starrt ihr Bild darin; Schmilzt je das Herz mir wieder, Fließt auch ihr Bild dahin!

4.凝固

雪の中をむなしく 彼女の足跡をさがす 僕の腕にすがって 緑の野原を歩き回ったところだ 僕は氷と雪を融かすようにと 地面にキスする 熱い涙で 土を見ることができるまで 花をどこに見つけるのだろう 緑の草はどこにあるのだろう 花は死に絶え 芝は色褪せた ここでの何もない思い出を どうやって思い出せばよいのか? 私の心痛が黙ってしまったら 誰が私に彼女のことを話すのだ? 私の心は死んだかのようで、彼女の面影は その中で冷たく凝固してしまった 私の心がふたたび溶けるとき また彼女の姿もまた融けでるのだろう!

(150202妻鳥純子訳)


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