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妻鳥純子

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シューベルトがゲーテに送った曲 16曲 1.Jun .2015

  • 妻鳥 純子
  • 2015年6月1日
  • 読了時間: 4分

今月6月20日(土)に、西条市総合文化会館 リハーサル室に於いて、 ″魔王 ( シューベルトとレーヴェ、そしてゲーテ ) ″ 第3回 妻鳥純子 歌とお話 ドイツ歌曲への誘い(いざない)

~音楽談義を交えながら、ドイツ歌曲を鑑賞しクラシック音楽の深奥に触れていただく音楽サロン~      ♪   シューベルト が ゲーテ に送った曲について      ♪   文豪ゲーテについて    他

を行うことになっており、このところ資料を作っている。1978年EDITION PETERS LEIPZIGの "Sechzehn Goethe-Lieder" から紹介したいと思う。16曲を後記する。 今回そのうちの8曲を数曲ドイツ語の朗読をし、日本語の朗読と続けて演奏に至る予定である。 「Der König in Tuhle」(トゥーレの王)と「Gretchen am Spinnrade」(糸を紡ぐグレートヒェン)も演奏する予定である、が「FAUST」のどの辺りに出ていたのか、(随分前に読んではいるのだが、トゥーレの王 の 歌の場面の記憶が全くない!)。原文ではとても無理なので、井上正蔵訳の前半、悲劇第一部を必死で読み進めた。(集英社ギャラリー、世界の文学10、ドイツⅠ) 先ず、Tuhle(トゥーレ)については注釈があり、「古代ローマ人が想像のうちに北のはずれに築いた街」とある。(実在の街ではない!) (井上正蔵のファウストとマルガレーテの登場人物紹介より引用) [ファウスト]は年齢50歳位の大学者。あらゆる学問を極めつくして、結局は何一つ知ることは出来ないということしかわからない、と悟って愕然とする。復活祭に毒杯を仰ごうとするが、復活祭の鐘の音と歌声を聴いて生へと呼び戻される。メフィウトフェレスが現れる。ファウストが現世への誘惑に負け、ある瞬間にたいして「止まれ、おまえはなんと素晴らしいのだ!」と言ったときには、喜んで自分は滅びよう、という契約をしてしまう。その日から、肉体の有限性から解放されて若返ったファウストの試練の旅が始まる。 [グレートヒェン(マルガレータ)]14,5歳の美少女。幼いころ父に死なれ、病弱の母に代わって妹を育てるが、やがて死なれてしまう。青年ファウストに出会いお互いに愛しあい、深い間柄となってしまう。逢引を一瞬でもひきのばそうと、ファウストにすすめられた眠り薬の量を誤って母親に与え殺してしまう。続いて軍隊に入っていた兄ヴァレンティンもファウストの剣に倒れる。その上ファウストの子供を身ごもって、世間の風当たりはいっそう強まる。  (Der König in Thule)が歌われる場面は、グレートヒェンが通りを歩いていてファウストと出会い、彼の声掛けに短く拒否しながらも、心に深く感じて家に帰ったグレートヒェンが服を脱ぎながら、この「トゥーレの王」を歌う。彼女はこの後、メフィストフェレスとファウストが箪笥に入れた宝石を見つける。

Der König in Tuhle           Johann Wolfgang von Goethe Es war ein König in Tuhle Gar treu bis an das Grab, Dem sterbend seine Buhle Einen goldnen Becher gab. Es ging ihm nichts darüber, Er leert' ihn jeden Schmaus; Die Augen gingen ihm über, So oft er trank daraus. Und als er kam zu sterben, Zählt' er seine Städt' im Reich, Gönnt' alles seinem Erben, Den Becher nicht zugleich. Er saß beim Königsmahle, Die Ritter um ihn her, Auf hohem Vätersaale Dort auf dem Schloß am Meer. Dort stand der alte Zecher, Trank letzte Lebensglut, Und warf den heiligen Becher Hinunter in die Flut. Er sah ihn stürzen, trinken Und sinken tief ins Meer. Die Augen täten ihm sinken; Trank nie einen Tropfen mehr. トゥーレの王             J.W. ゲーテ むかしトゥーレに王様がいました 死にいたるまで忠実でした 王妃が死ぬときに彼に 金色の杯を残しました 王にとってはそれに勝るものはなく どの宴会でもその盃から飲みました 彼の眼には涙があふれ しばしばその杯を空けました 死が近づいた時 彼は王国の彼の街々を数え 全て財産をゆずりましたが 杯だけは別でした 彼は祝いの食卓に座り 王の周りには騎士たちが座っています そこは気高い先祖の広間 海に面した城の上 そ こに年老いた酒飲みは立ち 最後の命の炎を飲みました それから聖なる杯を 満々たる水の中に投げました 王様は杯が転げ、水に飲まれ 深く海に沈むのを見つめていました 眼をつむりました;そして 二度と一滴も飲むことはありませんでした     (20150601  妻鳥純子訳)

シューベルトがゲーテに送った16曲

1.Jägers Abendlied ( "Im Felde schleich still und wild " op.3 Nr. 4, D368

2.Der König in Tuhle ( "Es war ein König in Tuhle " op.5 Nr.5, D 367

3.Meerestille ( "Tiefe Stille herrscht im Wasser" op.3 Nr. 2, D216

4.Schäfers Klagelied ("Da droben auf jenem Berge" op.3 Nr.1, .121

5.Die Spinnerin("Als ich still und ruhiig spann" op.118 Nr.3, D247

6.Heidenröslein("Sah ein Knab' ein Röslein stehn" op.3 Nr.3, D257

7.Wonne der Wehmut("Trockenet nicht") op.115 Nr.2, D260

8.Wanderers Nachtlied("Der du von Himmel bist" op.4 Nr.3, D224

9.Erster Verlust("Ach, wer bringt die schönen Tage" op.5 Nr.4, D226

10.Der Fischer("DasWasser rauscht',das Wasser schwollt" op.Nr.3, D225

11.An Mignon("über Tal un Fluß gezogen" op.19.Nr.2, D161

12.Geistes-Gruß("Hoch auf dem alten Turm" op.92.Nr.3, D142

13.Nähe des Geliebten("Ich denke dein,wenn mir der Sonne Schimmer op.5.Nr.2, D162

14.Gretchen am Spinnrade("meine Ruh ist hin" op.2, D118

15.Rastlose Liebe("Dem Schnee, dem Regen, dem Wind entgegen" op.5.Nr.1, D138

16.Erlkönig("Wer reitet so spät" op.1, D328

1. 狩人の夕べの歌 2. トゥーレの王 3. 海の静けさ 4. 羊飼いの嘆きの歌 5. 紡ぎ女 6. 野ばら 7. 悲しみの喜び 8. 旅人の夜の歌 9. 最初の喪失 10. 漁師 11 ミニヨンに   12. 精霊の挨拶 13. 恋人の近くに 14. 糸を紡ぐグレートヒェン 15 .憩い無き愛 16. 魔王


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