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妻鳥純子

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「ドイツ歌曲への誘い」第1回目を終えて16.Dez .2014

  • 妻鳥 純子
  • 2014年12月15日
  • 読了時間: 7分

今晩、12月16日 22:00 「となりのシムラ」が放映されるらしい。「アサイチ」で 今朝(12月16日)9:30頃ごろに紹介された。その紹介に Die Moritat vom Mackie Messer  の音楽がアレンジされて流れていた。夜の番組が楽しみである。 今朝珍しく朝飛び起きて、朝風呂に入った。今晩友人と食事に行くのでBier を飲む確率は絶対的に100%であるから、その後で風呂に入るわけには行かない、昨晩から何時風呂に入ろうかと思案していた。明日の夜から旅行に出るので、絶対に今晩は風呂に入らなければならないのに‥‥「Bierは断念するかなぁ~…‥」と考えていたのであった。突如「今だ!」と思い、風呂の用意をした。ああ、髪も洗えた…。これで夜はBier,BierでProst !! だ。 朝食にパンとチーズと野菜を摂りながら、珍しくいつもは禁止しているTVを見るともなく眺めていた。その時、「となりのシムラ」の紹介に Die Moritat vom Mackie Messerが流れた。狂喜した。そうなのです…この曲は、素敵なのです‥‥志村けんさんに比較できるくらいに良い曲なのです!…    ご存知ですか? この曲!有節歌曲ですが、クルト・ヴァイルが取り上げたものを挙げます。

 Die Moritat vom Mackie Messer    メッキー・メッサーのモリタート(注1) 1. Und der Haifisch, der hat Zähne   Und die trägt er im Gesicht   Und Macheath, der hat ein Messer   Doch das Messer sieht man nicht. 2. An'nem schönen blauen Sonntag   Liegt ein toter Mann am Strand   Und ein Menscht geht um die Ecke   Den man Mackie Messer nennt. 3. Und Schmul Meier bleibt verschwunden   Und so mancher reiche Mann   Und sein Geld hat Mackie Messer   Dem man nichts beweisen kann. 4. Jenny Towler ward gefunden   Mit ´nem Messer in der Brust   Und ein Kai geht Mackie Messer   Der von allem nichts gewußt. 5. Und das große Feuer in Sofo   Sieben Kinder und ein Greis -   In der Menge Mackie Messer, den   Man nicht fragt und der nichts weiß. 6. Und die minderjärige Witwe   Deren Namen jeder weiß   Wachte auf und war geschändet -   Mackie, welches war dein Preis? 1. そりゃ、鮫は歯をもっているさ   そりゃ、もちろん顔の中にあるだろ   メッキーはナイフを持っているぜ が、   誰もそれを見たものいない 2.きれいな青空の日曜日      川岸に死体がころがっている      角を曲がった男      人はメッキー・メッサーと呼んでいる 3. ほら、シュムール・マイヤーが消えたままだろ   たいそうな金持ちの男さ   その金をメッキー・メッサーが持っているんだが   証拠を突きつけられないでいる 4. ジェニー・タウラ―   胸をナイフで刺されて見つかった   メッキー・メッサーの奴埠頭を歩いている   奴め何も知らないって顔してるぜ

5. ソーホーでの大火事   7人の子供と老人が焼け出されただろ   人ごみにまぎれてメッキー・メッサー   誰も訊ねないし、彼は何も知っちゃいないというわけ 6. 未成年の後家さん   誰だって名前は知っている   目がさめたら犯された   メッキーさん、ところでいくら稼いだ?

この曲は、Bertolt Brecht(ベルトルト・ブレヒト) の 「Die Dreigroschenoper」(三文オペラ)で、Kurt Weill (クルト・ヴァイル)が作曲したものである。ブレヒトは9番まで書いているが、ヴァイルはそのうちの6番までを取り上げている。

前置きが長くなった。一昨日、「ドイツ歌曲への誘い」の第1回目を終えた。話と歌…と題している。前半50分位話し、後半に歌詞の朗読と演奏をした。  

ドイツ語が、オーストリア、スイス、リーヒテンシュタインなどの諸国で国語(公用語)として用いられていること、言語人口が1億弱。世界貿易や外交の面では英語・スペイン語・フランス語ほどの適用性はない。むしろ、科学を含む文化面で重要な役割を果たしている言語だ。たとえば世界の総出版書目の10分の1はドイツ語で書かれている。ドイツ語から他国語に訳される出版物は英・仏語に次ぎ、ドイツ語への翻訳点数は、日本をしのいで世界第1位にある。(注2) ドイツ歌曲への誘いにあたって、ドイツ語の位置づけをと思い、ドイツ歌曲への誘い、にあたって、ドイツ語の位置づけをと思いまして、小塩節氏の「ドイツ語とドイツ人気質」から引用することから始めた。

「ドイツ歌曲への誘い」という題をつけて、本番まで考え続けてきた。たとえば、古典作曲家のF.Schubertの Die schöne Müllerin, Die Winterreise 辺り から始めて ロマン派のR.Schumann, J.Brahms, H.Wolf, G.Mahler と、音楽史をたどってゆくことが一番に頭をよぎっていた。しかしながら、一年間Die Winterreiseとか Dichterliebe をずっと講義を続けて通してゆくのはとても疲れるように思った。以前学生時代にWalter Wiora の 「ドイツリートの歴史と美学」(注3)を読んでいたことを思い出して手に取った。今回第1回目の会にあたって 「有節歌曲」という言葉を覚えてほしいことを話した。 ……「有節形式」Strophenform は、リート詩において、又それよりもはるかに多くリート作曲において様々な方向に拡大されてきた。しかしそれらの拡大は、有節リートとの関連なしに理解することはできない。有節リートこそ、それらの連関の中心なのである。このことは変奏有節リートについてばかりでなく、超有節的な形態、例えばロンド的 (注4)な構成についても言えることである。有節形式はこの場合放棄されたのではなく、作り変えられたのである。詩節と韻文による歌詞の構成が少なくともおぼろげに分かる限り、その作品は言葉の完全な意味においてリートと考えて良い。 それゆえリートという概念は、多角形という大概念の下に、三角形、四角形、六角形などがあり、リートのすべての種類がその下に従属しなければならないような大概念として定義されてはならない。リートとは、このような大概念でも一般概念でもなく、一部分は中心概念である有節リートに属し、一部分は遠心的にそこから遠ざかり、求心的にまたそこへ戻り、又発展することによって中心形式を保存すると同時に断念する。さまざまな種類を包含した総体概念なのである。 有節リートは音楽の上では「リートそのもの」ではないが、このジャンルの中心にあるのである。それは連関の中心として、リート・ジャンルの統一の基礎をなすものである。 別の見地からしても、リート・ジャンルの統一を単一の形において考える事はできない。…………‥  (注5)

この後、ドイツ語の詩脚 について(注6)  話した。 ドイツ語の詩脚 (Versfuß)

Jambus (弱強調)      hinweg, wieso, o weh, zu dir Trochäus (強弱調)    Wiese, Vater, morgen, kommen 会の後半で、 1.Heidenröslein  (F.Schubert / W.Goethe) 2.Gretchn am Spinndrade (F.Schuber t / W.Goethe) 3.Der Lindenbaum (F.Schubert /  W.Müller) 4.Das Veilchen (W.A.Mozart  /  W.Goethe)

これらの曲を最初にドイツ語の朗読をし、それから歌った。1.は有節歌曲です。2.は通作形式をとりながら部分的に有節形式で、変形有節形式と呼ばれている。 今日の一番の目的は有節形式を理解していただきたいことなので、日本の歌の中から、滝廉太郎作曲、土井晩翠作詞の「荒城の月」を歌った。 クリスマスが近いので、会の締めくくりに、Franz Xaver Gruber 作曲、Joseph Franz Mohr作詞、Stille Nacht ,heilige Nacht(聖し、この夜)を歌っておしまいにした。

お客様は訳30数名だったと思うが、沢山の方がアンケートにお答えくださった。随分興味を持って下さったようで大変嬉しかった。又今後何か聴きたい曲を尋ねると、「美しき水車小屋の娘」、「冬の旅」、「美しきマゲローネ」によるロマンス、また、3歳から5歳位までの子供たちに歌わせたい曲は?……などというものがあり、大変参考になった。頑張って少しずつ考えて行こうと思う。

有節歌曲、通作形式 という風に 音楽の形式の方からドイツ歌曲を取り上げてゆくと、 たとえば最初に挙げたDie Moritat vom Mackie Messer メッキー・メッサーのモリタートや(これは、三文オペラの中で歌われるので、リートとしての紹介はできないかもしれないが……)H.Wolf やG.Mahlerや、R.Wagnerの曲なども、音楽史的に順番を追ってではなく紹介できるのではないかと考えた。

---------------------------------------- 注1、 大道芸人が手回しオルガンの伴奏などで語り歌う恐ろしい絵物語 注2、ドイツ語とドイツ人気質(小塩節著、講談社学術文庫、1988年4月第1刷発行)より 注3、「ドイツリートの歴史と美学」ヴァルター・ヴィオーラ著 石井不二雄訳 音楽之友社 注4、主要な主題が挿入部を挟んで、繰り返し現れる楽曲の形式。ソナタの終楽章におかれることも多いが、独立の楽曲もある。 注5、「ドイツリートの歴史と美学」ヴァルター・ヴィオーラ著 石井不二雄訳 音楽之友社 注6、ドイツの詩と音楽 赤井慧爾書 南江堂 より ----------------------------------------

「ドイツ歌曲への誘い」 今後の予定 2015年3月21日(土)19:00~21:00  第2回目 有節形式、変形有節形式、そして通作形式  ・Ganymed ガニュメート F.Schubert(シューベルト)  ・Ganymed ガニュメート H.Wolf (ヴォルフ)  ・Mignon (Kennst du das Land?) あの国をご存知ですか? F.Schubert(シューベルト)  ・Mignon (Kennst du das Land?) あの国をご存知ですか? H.Wolf (ヴォルフ) 他.   2015年6月20日(土) 19:00~21:00 第3回目  Schubert が Goethe に送った曲目について 18曲中、16曲の内容。    ・Erlkönig 魔王 F.Schubert(シューベルト)   ・Nähe des Geliebten 恋人のそばで(シューベルト)    ・Schäfers Klagelied 羊飼いの歎きの歌(シューベルト)     members3.jcom.home.ne.jp/goetheschubert/2angoethe.htm    渡辺美奈子   2015年9月19日(土) 19:00~21:00 第4回目 「女の愛と生涯」R.Schumann (シューマン) について    ・R.シューマンと クラーラ・シューマン   ・「女の愛と生涯」の詩人シャミッソーについて                                   等 2015年12月4日(金) 19:00~21:00 第5回目 Liederkreis op.39 & Dichterliebe Op.48 (シューマン) について ( ♪♪ 曲目は変更することがありますことをご了承ください。)


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