小川への感謝の言葉 25.Jan .2015
- 妻鳥 純子
- 2015年1月25日
- 読了時間: 5分
私のレッスンを受けてくれる人がいる! その人たちの中の一人の彼女は、ご自分の若き日のことを思い、最近「Die schöne Müllerin」を歌いたくなったと言う。 私もこの歌曲集の中の何曲かは歌ったのだが、次回のレッスンが近づいているので、曲のことを早急に考えてみなければならない。既に3曲は終えている。
4.Danksagung an den Bach
War es also gemeint, Ein rauschender Freund? Dein Singen, dein Klingen, War es also gemeint? Zur Müllerin hin! So lautet der Sinn. Gelt, hab ich's verstanden? Zur Müllerin hin! Hat sie dich geschickt? Oder hast mich berückt? Das möcht ich noch wissen, Ob sie dich geschickt. Nun wie's auch mag sein, Ich gebe mich drein: Was ich such, hab ich funden, Wie's immer mag sein. Nach Arbeit ich frug, Nun hab ich genug, Für die Hände ,fürs Herze Voll auf genug.
4.小川へ感謝の言葉
そう思っていたのか ざわめく友よ? お前の歌、お前の響きは そう思っていたのか? 水車小屋の娘の所へ!
心がそう言っている 友よ、僕は良くわかっただろう? 水車小屋の娘の所へ! 彼女がお前を送ってきたのか? それともお前が私をだましたのか? 私は知りたいのだ 彼女がお前を送ったのかどうかを さてどちらだとしても 私をその中にゆだねようと思う 私が捜したているものを、見つけたのだから それがどのようであるにしても 私は仕事を求めていた 今私は充分満足している 手の為と、心の為に それで充分なのだ (150125 妻鳥純子訳)
何と美しい旋律。従順で、気持ちの優しい、なんと内気な若者であることか…… 先ず楽譜を見てみる。言葉の数は大変多く8分音符♪、16分音符 ♬ 毎に言葉が付いている。 声楽の基本的なものに、「音符は母音Vokal で 繋ぐ。」「子音Konsonantには、母音が持っているような時間は無い!」というのがある。細かい♪ と ♬ に付いた言葉をはっきりと鮮明に聴きとられるようにするには、歌う前にかなり詩を読み込み、想像力をしっかりと動員して働かさなければならないのは当然のことである。
War es also gemeint, [va:r e-s a-l-zo: gemaint] 発音するとき、前の母音と次の子音を続けてリエゾンすることが良くあるが、リエゾンとは……(仏: liaison)「フランス語などで、通常は発音されない語尾の子音字が次に続く語の語頭母音と結合して発音される現象。連音。」 (注1) ドイツ語の場合、気をつけなければならない。ドイツ語で多分リエゾンをすることはほぼ無いと思う。(余程テンポの速いものは別にして) gemeint の ge は決して鼻にかからないように! Ein rauschender Freund? Ein は強調しないように、aən と発音しFreundの山に向かってゆく。rauschender の [r] は、ざわめく…という意味であり、語頭にあるr なので、[r ]はしっかりと巻き舌にすること。 時々巻き舌のできない人がいるので、これを機会に是非、歌を歌いたい方は r の発音を習得してほしいと願う。私の練習方法を下記する。
・「巻き舌 r の練習方法」(口蓋垂によるrではなく、歌唱に用いる舌の先でのr の作り方) !! いつまでも巻き舌が出来ない…と言って、1年も2年も出来ない、出来ないと言っていないで、 短期間に集中的に練習することが大事…。肩、胸等の力を抜いて行う。 1、 t d l の発音の場所を的確にとらえること [t d] の発音は、上の歯に舌の先を引き寄せ、息をその場所に吐きかける。[t] は無声子音、 [d] は有声子音。次の [l ]は、舌の力を抜き、舌の先を上の歯の付け根に置きklingen lassen する。 2、 ta ta ta ta ta ta ta ta , da da da da da da da da と何度も繰り返す。 3、 次にta とda とを交互にtadatada tadatada tadatada tadatada tadatada、 逆にdatadata datadata datadata datadata と何度もしつこく発音することを繰り返し練習する。 4、 次に、daの所をlaにして、talatala talatala talatala talatala…‥ と発音をしつこく繰り返す。 (もうほとんど 巻き舌のできる一歩手前に来ている・…舌には決して力を入れないこと。) 5、 腹が膨れるように (胸に息を吸うのではない…と言う意味) 下半身をしっかりとして、 舌の力を抜いて r に突入…‥‥!! 6、 taratara taratara taratara taratara…………… 7、 巻き舌 r ができる…‥ 「どうでしょうか?多分お出来になったことと…‥‥想像します…が」
Freund の f を発音する前に力を抜き r の用意をしておく。
(先程の練習をなさってくださったと思うので、完璧になられ たことと…想像する。)
Dein Singen, dein Klingen, [da-ain ziŋen, da-ain kliziηen] Zur Müllerin hin! [t⌒su:r mγlerin hin] Zur のu: は暗く長く、u が日本語の 「うー」にならないように。 So lautet der Sinn. [zo: laɔ,tet de:r zin] Gelt, hab ich's verstanden? [gεlt ha:p içs fɛɐʃtandən] Zur Müllerin hin! この4行の語尾の n を klingen lassen すること。(klingen lassenは 日本語での響かせる、というのと少し違う。 n が響くのは当然といった意味を感じるので。)
Hat sie dich geschickt? [hat zi: diç gəʃikt] Oder hast mich berückt? [o:dər hast miç bərʏkt] Das möcht' ich noch wissen, [mœçt iç nɔx ] Ob sie dich geschickt. [ɔp] offenes [ɔ] Nun wie's auch mag sein, [nu:n] 綺麗な 暗くて長い u: であるように。 Ich gebe mich drein: [ge:bə] g の 発音を綺麗に。g は硬口蓋で綺麗に発音すること。 Was ich such, hab ich funden, Wie's immer mag sein. この4行の文の語尾は、全て n である。n をklingen lassen すること。
Nach Arbeit ich frug, [fru:k] Nun hab ich genug, [gənu:k] Für die Hände , f?rs Herze Voll auf genug. [fɔl auf gənu:k] 詩を朗読するにあたっては…‥ まず詩人の言葉を何度も読み、何度も読むときに、先日記載した、Jambus(強弱)とかTrochäus(弱強)と言ったことは、朗読や演奏にあたっては初歩の初歩なので、それを踏まえたうえで、詩の情感を感じ取ってゆくことが一番大事だと思う。詩の中の主人公の人生を考え、作者の人生、作曲家の人生、そして自分の生きてきた人生を(それは、人に話すものではないと思うが、多分そういったことがあるのではないかと思う。)重ねる。淡々と…‥ 決して感情を吐き出すのではない。歌う時には、声のLinie を美しく保ち、決してずり上げて声を出すことなく、不用意に声を出さないようにしなければならない。考え、感じ、精神的に知覚する。ということが大事だと考える! ------------------------- (注1)デジタル大辞泉の解説 より
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